2022/1/25 Takeda IBD 全国Webセミナー

潰瘍性大腸炎の病態メカニズムから考えたbio治療戦略

上記の演題で 島根大学の石原 俊治 先生が司会をして 浜松医科大学の杉本 健 先生が講演してくれました。

 

潰瘍性大腸炎はヘテロなサイトカインパターンを示し Th1、Th2 Th17 の全てが関与する病態です。エンタイビオは 白血球が血管の隙間から炎症局所に浸潤できないようするお薬で、間接的にTh1、Th2 Th17を総じておさえることができます。エンタイビオとステロイド以外のお薬はTh2を抑制することができません。ステロイドは喘息 花粉症 アレルギー疾患などTh2優位な病気によく効きます。Th2の関与を示す所見として大腸粘膜の好酸球増加(≧50 強視野)があります。エンタイビオは直接サイトカインをブロックするのでなく サイトカインを産生する白血球を減らす作用なので他のお薬の手助けが必要です。エンタイビオは好酸球の遊走も防ぐので Th2の関与しているような症例(花粉症 アレルギー疾患の合併)にはステロイドとエンタイビオで同時に治療するとよいでしょう。エンタイビオの好適症例また慢性持続している症例には短期的にステロイドを投与すると改善します。エンタイビオで寛解導入できずに後でステロイドを上乗せしてもあまり有効でない印象です。またプログラフで寛解導入しエンタイビオで維持すると将来手術に至るリスクを減らせます。エンタイビオの好適症例は外来中等症以下のステロイド依存(好酸球の関与が強い)例です。