2022/11/17 GMA Virtual Conference 2022
島根大学 石原教授、福岡大学 平井教授、兵庫医科大学 横山先生、札幌医科大学 仲瀬教授、医誠会病院 福知先生が クローン病、潰瘍性大腸炎における白血球除去療法(GMA)のバイオ効果減弱例に対する効果や、潰瘍性大腸炎治療中の長期間でみた有効性を論じてくれました。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)の治療目標をより高くする(臨床症状:腹痛 血便 下痢などの改善→CRP、LRG、便中カルプロテクチンなどのバイオマーカーの正常値化→粘膜治癒→生検組織における組織学的寛解)こととレミケードやヒュミラの血中濃度をより高くすることが必要です。抗薬物抗体が出現するとレミケードの血中濃度は低くなります。クローン病においてヒュミラ2次無効のためレミケードに変更するときにはイムランを併用したほうが治療成績はよくなります。またバイオ製剤2次無効時に白血球除去療法を導入するとその50%の患者さんでバイオ製剤がまた効き始めます。白血球除去療法はレミケードの2次無効時に併用することによりレミケードの有効性を回復させますがクローン病の方が潰瘍性大腸炎よりその効果は高いようです。
潰瘍性大腸炎治療においてステロイド未使用に対しては短期の有効率:80%、ステロイド依存例:60%、週2回試行のintensive therapyではステロイド未使用例の寛解導入率:70%、粘膜治癒率:60% 高齢者においてもその治療効果はかわりません。粘膜治癒率はステロイド未使用:70%、ステロイド依存例:40%。ステロイド抵抗例:40%です これらのデータから白血球除去療法はステロイド治療の前に導入するのがその治療有効性を最も高めます。寛解導入としての白血球除去療法を終了すると 再燃する症例が徐々にでてきますが終了2年後において60%の患者さんは再燃がなく 終了2年以後は再燃する患者さんは減ってきます。また再燃しても再び白血球除去療法を行うと約85%で再寛解導入でき 3回目の再々導入まで寛解導入効果は同じです。但し寛解になるまでの時間が長くなります。4回目は効果が減じて再寛解導入率:50%です。レミケード中止後のレミケードによる再寛解導入率は80%ですがその際 投与時反応が10%程度起こります。白血球除去療法の維持治療の有効性を評価した治験:CAPTAIN studyでは 2週毎に白血球除去療法を継続した患者さんの方が 治療しなかった患者さんと比較すると より早くステロイドを離脱でき、より長く寛解を維持できました。実臨床において白血球除去療法の維持療法を行うのに適した患者さんは 10回試行したがまだ排便回数や血便などの臨床症状が完全によくなっていない方などで このような患者さんに継続して白血球除去療法を行うとよいでしょう。臨床寛解 粘膜治癒に達したら白血球除去療法の維持治療は終了します。再燃時には再導入するとよいでしょう。