2022/12/13 HUMIRA Internet live Seminar

クローン病肛門病変の早期発見から最新治療まで

JCHO四日市羽津医療センター 副院長  IBDセンター長 山本 隆行 先生

上記の演題で山本先生が講演されました。

 

クローン病瘻孔性痔瘻の治療において抗生剤治療ではシプロキサン500mg/1日2回の方がフラジール500mg/1日2回より有効です。抗TNFα抗体のレミケードでは5mg/kgと10mg/kg に効果の差はありませんでした。

ヒュミラは痔瘻の治療において6週で瘻孔閉鎖率30%ですが2年後も30%の患者さんに投与維持できていました。治療開始時にヒュミラとシプロキサンを併用するとより効果的ですがシプロキサンを長期に継続しても効果はありません。

クローン病瘻孔性痔瘻の治療においてステラーラ エンタイビオは有用ですが統計学的にプラセボと有意差はありません。メタ解析の成績では瘻孔閉鎖については抗TNFα抗体(レミケード ヒュミラ)がバイオ製剤の中では最も効果があります。

瘻孔性痔瘻が重症の場合はレミケード>ヒュミラ>ステラーラ>エンタイビオの順に効果があります。重症でなければステラーラ エンタイビオで治る場合もあります。痔瘻の治療で最初に抗TNFα抗体を使用し2次無効になったため他剤に変更する場合は 別の抗TNFα抗体>ステラーラ>エンタイビオの順に効果があります。高位痔瘻が再発率が高く 痔瘻の治療には外科治療+内科治療の併用が有効性を高めます。しっかり外科的にドレナージして その後瘻管の治療のため速やかにバイオ製剤を導入するとよいでしょう。それでも難治の時はアロフィセル導入を考慮します。

痔瘻が難治のためストーマを造設した場合 バイオ製剤を投与しても残念ながらストーマ閉鎖できる患者さんは少数です。痔瘻発症後10年経ったら痔瘻癌の早期発見のため毎年画像検査や生検を行ったほうがよいでしょう。