2022/2/22 Takeda IBD全国Webセミナー

コロナ渦で挑むクローン病診療の最適化:T2Tとvaccination

上記の演題で佐賀大学 消化器内科 教授 江崎 幹宏先生が司会をして 兵庫医科大学 炎症性腸疾患センター 准教授 渡辺憲治先生が講演してくれました。

 

近年 クローン病 潰瘍性大腸炎の治療に使用できるお薬が増加しました。今後も増えてくる予定です。新薬を使いこなすには既存治療を熟知して最適化できることが前提です。そうすれば新薬のこれまでにない効用を引き出すことができます。クローン病治療の問題点:手術と再燃による入院を減らすためにはT2Tによるtight controlが大切、必要です。薬物濃度を参考にして治療を最適化する治験:TAXITでは 2年では差はでませんが5年以後予後がよくなります。バイオマーカーを指標に治療を最適化する治験:CALMではtight controlを止めてしまうと予後も元にもどってしまいます。

クローン病で再手術の60%は吻合部周辺ですが20%は他の部位で肛門病変も多いです。抗TNF-α抗体投与単独で治療中に2次無効になった時は増量、短縮前にアザチオプリンを導入して用量調節しておくほうが増量、短縮後の効果がよりよくなります。NUDT15検査でヘテロ(Arg/Cys)の患者さんにはイムランよりロイケリンで少量ずつ調節したほうがよいでしょう。エンタイビオの治療コンセプト:炎症を引き起こすTリンパ球の局所への浸潤をブロックする。よって すでに局所に浸潤して炎症を引き起こしている細胞を除去できたり、炎症性サイトカインを阻害するお薬ではありません。エンタビオのクローン病における実臨床での効果は有効率60% 寛解率30%ぐらいです。単純な肛門病変には効果があります。狭窄 瘻孔などの腸管変形がない症例に有効です。術後の再燃予防に最適です。接着因子のリガンドは大腸より小腸の方に発現が多いので薬剤の機序的には小腸の方によく効くことが期待されます。