2022/2/4 Ulcerative Colitis Web Seminar

潰瘍性大腸炎の治療最前線   ~患者さんのQOL改善を目指して~

 

上記の演題で富山県立中央病院 松田 耕一郎

先生が講演してくれました。

 

潰瘍性大腸炎治療の基本は5-ASAですが最近5-ASA不耐が増加しその中には心筋炎や間質性膀胱炎もあります。ステロイド依存症の不可逆な副作用として白内障 圧迫骨折 大腿骨頭壊死 小児の成長障害があります。このようなことを起こさないようにしなければなりません。イギリスのデータですがイムランの長期維持率(10年)はおよそ、潰瘍性大腸炎:60%、クローン病:30%です。日本において現在潰瘍性大腸炎患者さんの10%程度で生物学的製剤が使用されています。アメリカでは通常の治療に抵抗性であればすぐに生物学製剤を使用する方向です。生物学的製剤を選択する時は 効果発現のスピード 長期の有効性 長期の安全性を考慮します。レミケードの効果発現は迅速ですが 日本での実臨床での長期の継続率は5年でレミケード ヒュミラは同様で30%ぐらいです。抗TNF-α抗体:レミケード ヒュミラ シンポニーの副作用は感染症(結核 稀なものとしてクリプトコッカス髄膜炎)皮疹などです。

日本の実際のデータでは エンタイビオは重症度では中等症のうち軽症よりの患者さん(pMayo:4.4)が良い適応で効果発現は緩徐でゆっくり効いてきます 効果が実感できるのは2か月後ぐらいです。ステラーラは中等症で 重症よりの患者さん(pMayo:5.5)、ステロイドやイムランに抵抗性でも有効なことがあります。ステラーラとエンタイビオを比較すると効果発現の速度(pMayoの低下)、短期のPSL離脱率 短期の臨床寛解率はステラーラの方が良い成績です。ステラーラ エンタイビオは長期の継続率は抗TNF-α抗体より良好で、2年でどちらも90%を維持しています。ステラーラの海外のデータでは1年のステロイドフリー寛解率:30% 9か月目の継続率:70%です。

ステラーラは安全性が高いのに加え効果発現は比較的早いのが特徴です。