2022/2/5 第3回 九州IBD Circle

クローン病の小腸病変に対する治療の最適化を目指して

上記の演題で琉球大学の外間先生が司会をされ 鹿児島大学の上村先生が講演してくれました。

 

小腸型のクローン病は診断時にすでに腸管ダメージを蓄積している可能性があります。小腸に潰瘍があるとそれだけで手術のリスクになり 大腸の9倍手術リスクがあります。手術の原因は狭窄:50%、瘻孔:25%、膿瘍:10%です。小腸病変は画像診断がしにくいのでマーカーを治療目標にしてもよいです。便中カルプロテクチンはクローン病の活動性と一致し 小腸カプセル内視鏡検査の所見と相関します。ダブルバルーン小腸内視鏡で検査すると臨床寛解でも回腸末端に20%、深部回腸に1/3程度潰瘍が見つかります。MREは好感度に小腸の潰瘍を診断できますが狭窄の判定には不十分です。MREとダブルバルーン小腸内視鏡のどちらも活動性がないと再燃率が低いです。CTEは大腸内視鏡検査と同日に試行できMREより試行しやすいのが良い点ですが被爆するのが難点です、腹部エコーは低侵襲でよいのですが診断に技術差がでます。

最新のネットワークメタアナリシスによるクローン病生物学的製剤の効果ランキングでは

最初に使用すべきお薬の効果順は

レミケード+イムラン>レミケード>ヒュミラ>ステラーラ>エンタイビオ

レミケードが効果減弱して2番目に投与するお薬の効果順は

ヒュミラ>ステラーラ>エンタイビオ

小腸粘膜治癒:レミケード60%、ヒュミラ40%、ステラーラ40% エンタイビオ40%

大腸粘膜治癒:レミケード80%、ヒュミラ80%、ステラーラ75% エンタイビオ70%

エンタイビオがよく効くクローン病症例はバイオ製剤未投与、手術歴なし 瘻孔なし アルブミン正常値 CRP正常値です エレンタールを併用すると効果がさらに高まります。