2022/3/15 Kyorin WEB サロン

高齢者潰瘍性大腸炎

防衛医科大学校 消化器内科 教授 穂刈 量太 先生 講演

 

防衛医科大学校の穂刈先生が高齢の潰瘍性大腸炎患者さんの特徴をまとめてくれました。

潰瘍性大腸炎患者さんのうち高齢で発症した方は増加していますが 家族歴が少なく 遺伝的素因よりも環境因子が大きいと思われます クローン病は高齢で発症する患者さんは増加していません。高齢発症者は入院率 手術率がより高率で 暦年齢より併存疾患の多さが経過 予後に関わります。ステロイド投与は手術や合併症増加のリスクで、特に中心静脈栄養を試行すると血栓症に注意が必要です。抗TNFα抗体(レミケード ヒュミラ シンポニー)の治療効果は若者と同等ですが重症感染症や心不全のリスクになります。イムランを併用しても2次無効予防に効果はなく逆に感染症や血液系腫瘍の頻度を上げます。高齢者にはレミケード ヒュミラ シンポニーは単独投与のほうがよいでしょう。高齢者潰瘍性大腸炎では抗TNFα抗体の方がエンタイビオより有効ですが エンタイビオは 感染症は増加させずより安全です。白血球除去療法はステロイド投与前であると若者より有効性が増します。潰瘍性大腸炎に関連した大腸癌の検査(大腸カメラ)は若年者より厳密に行った方がよいでしょう