2022/3/15  Takeda IBD 全国Webセミナー

潰瘍性大腸炎における5-ASA不耐の臨床

 

大阪医科薬科大学 第2内科 専門教授の中村志郎先生が5-ASA製剤(ペンタサ アサコール リアルダ)で最近注目されている5-ASAアレルギーを解説してくれました。

最近 5-ASA製剤が副作用のため服用できない患者さん(5-ASA不耐)が増加してきました。患者さんの中に占める割合は全体では10%程度で 専門施設では15%程度です。その原因は 投与量の高用量化 後発品の増加 腸内のdysbiosisなどです。日本人は白人より5-ASA不耐を起こしやすい遺伝子多型を多く有しています。  5-ASA不耐の70%が発熱 下痢などのアレルギー症状で 30%が臓器障害(肝障害 腎障害 膵炎 肺炎など)です。5-ASA製剤投与後に一時的に症状が改善したあと突然発熱 下痢 腹痛などを起こす患者さんが全体の40%程度です。30%の方が1週以内 80%の方が1ヶ月以内に不耐症状がでていました。臨床症状は激しいですが 特に初期は内視鏡は重症ではないことが多いです。5-ASA不耐と気がついてお薬を中止すると1週間以内にだいだい改善します。脱感作療法はあまり試行されていませんが ゆっくり増量すると80%程度で成功するようです。別の5-ASA製剤に変更する場合(臓器障害ではしない)は安全性を考慮し漸増投与がよいでしょう。