2022/3/19 アダカラムUC寛解維持治療効能追加記念講演会

アダカラムの新たな可能性を探る

~CAPTAIN Studyの結果から~

 

北里研究所病院の日比先生が司会をされ 堂島内科・消化器内科クリニックの澤田 康史 先生が白血球除去療法の作用機序、関西医科大学の長沼 誠先生が白血球除去療法の潰瘍性大腸炎での維持治療について講演をしていただき その後 福岡大学 平井先生、札幌厚生病院 本谷先生、兵庫医科大学 横山先生のパネルディスカッションがありました。

 

AIDSになったクローン病患者さんはAIDSの治療をするとクローン病もよくなります。クローン病はT細胞が関わる病態です。潰瘍性大腸炎はB細胞や形質細胞が病態に関わっています。アダカラムの作用機序は活性化された単球(好中球、単球)を血液中から取り除くことですが同時に他の白血球が消化管へ遊走できなくなります。このような機序のため生物学的製剤効果減弱例に対し使用すると生物学的製剤に対する抗体を産生する白血球を働かせなくすることができます

白血球除去療法の特徴は繰り返し使用でき 一度寛解導入できた患者さんにはもう1回してもよくききます。粘膜も治し(粘膜治癒) 副作用が少ないので他の治療と併用できます。治験では寛解導入率が17%で他の生物学的製剤とあまり変わらない成績でしたがShamカラム11%で統計学的に差がありませんでした。症例数が少なかったためかもしれません。顕微鏡で病理を観察するとアダカラムはよく治っていました。

これまではアダカラムは維持療法に使用できなかったので維持治療はイムランを使用していました。イムランは感染症を増加させるリスクがあります。以前の研究では潰瘍性大腸炎においてアダカラムはイムランと同等の維持効果があります。

今回アダラカラムで寛解導入できた患者さんは引き続き月2回で48週まで維持治療が継続できるようになりました。維持治療がよく効いた患者さんは寛解導入がうまくいって(維持治療開始時 pMayo:0)プレドニンを使用していない方です。

アダカラムを使用したほうがよい患者さんは 中等症から軽症で 安全性を大切にしたい患者さんや高齢者です。5-ASA不耐(副作用で服用できない)、イムラン不耐 バイオ製剤効果減弱 不耐などです。

一度アダカラムで効果があった患者さんはまた使用しても約80%効果があります。寛解導入にステロイドを投与したものの寛解に至らない患者さんにアダカラムを併用してステロイドが中止できたら以後3ヶ月程度継続して終了します。また重症の患者さんでもステロイド+アダカラムで治療しステロイド減量中にアダカラムを継続してもよいでしょう。アダカラムを始めると医療機関を頻回に訪れなければならないのが欠点ではありますが逆に医療関係者と十分コミュニケーションできる良い点にもなります。