2022/4/19 Ulcerative Colitis Web Seminar
サイトカイン治療から見えてきた潰瘍性大腸炎の病態
札幌医科大学 消化器内科 教授 仲瀬 裕志 先生
潰瘍性大腸炎に対するステラーラの有用性の検討
~Phoenix Cohortから~
旭川医科大学 代謝・免疫・消化器・血液内科 助教 安藤 勝祥 先生
上記の演題でお二人の先生の講演がありました。
クローン病はTh1細胞、Th17細胞が主態の病態と言われていますが 潰瘍性大腸炎はTh1,Th17に加え Th2, Th9も関与していると言われています。潰瘍性大腸炎は 病態が初期から後期にかけて変化することも知られており 病初期にはTh1が主であったのが後期にはTh2が主へと変わっていきます。Th17は初期も後期も変わらす病態にからんでいます。またこれらの病態はオーバーラップすることもあります。潰瘍性大腸炎はTNFαの発現量が多くクローン病より多くの抗TNFα抗体が必要です。抗TNFα抗体1次無効のときはIL7が高値で 難治例はJAK-STAT系が関与しているという研究報告があります。
治験におけるステラーラの成績は 治療開始後1年での投与維持率は60%程度で10%がその後手術になっています。北海道地区での潰瘍性大腸炎におけるステラーラの実臨床の成績:患者背景 pMayo:5.6, バイオ未使用例約40%を対象として投与すると 8週寛解:60% 52週寛解:70% バイオ未使用例のほうがバイオ既往例より成績が良好です。バイオ既往例においては1剤無効と2剤無効では同等の成績でした。1年後の継続率は90%です。実臨床なので再燃傾向があるときはステロイド 白血球除去療法、局所製剤を併用して継続率を上げています。長期寛解の因子としては投与後8週で高トラフ、粘膜治癒 組織学的治癒です