2022/4/23 消化器病学会 モーニングセミナー
大阪大学の新崎 信一郎先生が炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎 クローン病)の病態と治療に使用されるお薬の作用機序を講演してくれました。
潰瘍性大腸炎 クローン病の病態のひとつは腸管免疫担当細胞の異常活性化です。遺伝的素因も関与しますが免疫異常の関与がより大きいようです。抗原提示細胞(APC)を起点としたサイトカインバランスの制御が崩れている状態です。APCからの情報伝達によりヘルパーT細胞が分化していきますがそれにかかわるのがT細胞受容体(TCR)です。イムラン ロイケリンはTCRを介した刺激を抑制しT細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導します。プログラフ サンディミュンはTCRを介したシグナル伝達を抑制します。抗TNFα抗体(レミケード ヒュミラ シンポニー)は炎症性サイトカインの主たるシグナル伝達:NF-κβ経路を抑制します。ステラーラはIL-12/23をJAK/STAT系シグナルを介して抑制しT細胞の分化を間接的に抑制します。