2022/4/27 Crohn’s Disease Web Seminar
-StelaraⓇ for Small Bowel Disease-
小腸病変評価の重要性と小腸病変への内科治療
岩手医科大学 消化器内科消化管分野 教授 松本 主之 先生が司会をされ 上記の演題で 東京医科歯科大学 消化器内科 助教 竹中 健人 先生が講演されました
クローン病患者さんの70%~80%に小腸に潰瘍があり 小腸病変は予後を規定します。無症状であっても小腸病変が隠れていることがあり 手術などで治療しても比較的早い段階で再燃します。 これまでのクローン病病勢評価に使用されてきたCDAIは客観性がなく 小腸カプセル内視鏡検査、小腸ダブルバルーン内視鏡検査、MREなどの所見と相関しません。
これらの画像診断を用いて症状のないうちに小腸病変を把握し的確に治療することが重要です。MREは有用ですが感度は小腸バルーン内視鏡のほうが優れています。MREは狭窄の発見に難があります。予後を予測する能力はMREと小腸バルーン内視鏡は同等です。レミケード、ヒュミラなどの抗TNFα抗体でクローン病を治療すると大腸粘膜治癒:80%、小腸粘膜治癒40%で 小腸潰瘍はより治りにくい結果でした。抗TNF-α抗体投与で治療する時 リスクとしては①狭窄 ②穿通 ③イムランの併用ない ④TNF-α抗体治療歴があり これらのリスクが0個なら小腸粘膜治癒率:75%、1個:54%、2個:22%、3個:13%です。回腸末端のみに炎症のあるクローン病は適切な治療を行えば再燃しにくいです。
生物学的製剤の治療成績では 大腸粘膜治癒:レミケード80%、ヒュミラ80%、ステラーラ75% エンタイビオ70% 小腸粘膜治癒:レミケード58%、ヒュミラ39%、ステラーラ40% エンタイビオ40%。 小腸を含め粘膜治癒を達成した患者さんの血中濃度は達成していない患者さんより高かったです。ステラーラでクローン病の小腸病変を治すには12週投与より8週投与の方がよいでしょう。ステラーラで維持治療中に小腸潰瘍が残存していた場合 (日本では測定できませんが)血中濃度が低ければ 短縮投与などに治療強化します。濃度が高ければ他の薬剤に変更します(>4μg/ml)