2022/6/23 Ulcerative Colitis Web Seminar

長期治療戦略を見据えた潰瘍性大腸炎治療

 

上記の演題で島根大学の石原先生が司会をされ、東京慈恵医科大学病院の猿田先生が講演してくれました。潰瘍性大腸炎は5-ASA製剤とステロイドがよく効くので重症や劇症でなければまずはペンタサ アサコール リアルダ サラゾピリンなどを投与します。重症よりの中等症以上であればステロイドを投与します。プログラフは重症~劇症によく効きますが維持治療をイムランで行うと再燃がしばしば起こります。海外では重症、劇症例は広い 深い潰瘍がありレミケードを投与しても潰瘍から漏れ出てしまいますので そのような症例に対しては初回10mg/kg、 1週間後5mg/kg投与するそうです。プログラフ シクロスポリンが重症 劇症例に効果があるのは血中濃度を測定して投与量を調節するからと思われます 抗TNFα抗体(レミケード ヒュミラ シンポニー)はよく効く患者さんがいますが全く効かない1次無効が18%~50%あります。このことから潰瘍性大腸炎の病態はTNFα以外の病態があると思われます。初期はTh1サイトカイン 後期はTh2サイトカインが病態の主体であるようです。モニタリングに便中カルプロテクチンは有用で <200μg/gであればMayo0-1と予想されます。しかし便が持ってくる煩雑さ 一般の施設ではその日に結果がでないことなどが欠点です。新しいモニタリングツールとして尿中PGE-MUMがあります。臨床スコア 内視鏡スコア 病理スコアと相関します。Mayo0とMayo1を区別することもできそうです。さらに尿で測定できるのが非常によい点です。潰瘍性大腸炎の治験データで寛解率も大切ですが改善率も大切です。すこしでも症状が改善すれば患者さんにがんばって投与継続するからです。ステラーラの潰瘍性大腸炎の好適症例は高齢者 CRPが下がりきらない慢性持続型、バイオ2剤目 3剤目でも有効です。潰瘍性大腸炎は適切にバイオ製剤を変更することが大切です。