2022/6/7   Ulcerative Colitis Web Seminar

外来治療の最適化を目指した潰瘍性大腸炎の治療

 

大阪医科薬科大学 第二内科 専門教授 中村 志郎 先生が司会をされ 上記の演題で 名古屋大学 消化器内科 講師 中村 正直 先生が講演してくれました。

 

潰瘍性大腸炎の成因として 高脂肪食 メンタルストレスなどにより腸管上皮の外粘液層が減少します。その結果 内粘液層も減少し炎症細胞が内皮に接着しやすくなりリンパ球浸潤→好中球 好酸球の浸潤から粘膜固有層での免疫の過剰反応がおこり上皮の破壊へとつながります。

現在の治療のメインは粘膜固有層での免疫過剰反応の抑制ですが 外粘液層の減少に対する治療は少ないです(これを是正するのがセイタイといわれています)ムチンの減少は臨床再燃と相関すると言われています。潰瘍性大腸炎、クローン病の増悪因子としてストレスや不眠などもあります。また副交感神経を遮断すると粘膜内の免疫寛容に関わるT細胞が減ることが報告されています。

潰瘍性大腸炎治療の目標は 発症前のQOLに戻すこと、難治による手術の回避 癌発生の回避です。また潰瘍性大腸炎に関連した発がんは発見しにくいので内視鏡的にはMES0 最低MES1を目指します。病勢、患者背景により治療法はケースバイケースですが 最初に使用する生物学的製剤は有効性以外に特に患者さんの社会的な状況 好みなども考慮します。

便潜血と便中カルプロテクチンの両方が陰性になるとその後の予後がよくなります。潰瘍性大腸炎治療は長期戦ですがステラーラの利点は利便性 安全性にすぐれ難治性潰瘍性大腸炎患者さんの約半数が皮下注で長期に治療効果が維持され、イムランや5-ASA製剤などの経口薬を中止できるかもしれません。血便が1か月で患者さんの半数で無くなり、12週毎の治療で可能なかたもいらっしゃいます。