2022/7/20 Kyorin Web Seminar in 2022

5-ASAの不耐症はここに注意

 

千葉大学 消化器内科 准教授の加藤 順 先生が5-ASA製剤(ペンタサ アサコール リアルダ)のトピックスである5-ASA不耐症の講演をしてくれました。

 

最近 5-ASA製剤が副作用のため服用できない患者さん(5-ASA不耐)が増加してきました。 そのなかで腹痛 下痢 発熱 CRPの急激な上昇など腹部症状を主体にするものを5-ASAアレルギーと呼びます。典型的には 潰瘍性大腸炎が発症 再燃し 5-ASA製剤投与開始直後は症状改善するものの1~2週後に急な発熱 頻回の下痢 腹痛をおこします。内視鏡検査では症状の割に粘膜所見は軽度なのが特徴の一つですが 長期に我慢したり放っていたりすると内視鏡的にも重症になることがあります。疑ったら一度5-ASA製剤の服薬中止してみることが必須です。大切なことは 患者さんに投与前にこのようなアレルギー症状が起こりうることを必ず説明することです。アレルギー症状が出現したらすぐに服薬中止することも指示しておきます。症状が激しい患者さんに最初から5-ASA製剤とステロイドを併用して投与すると5-ASAアレルギー、5-ASA不耐の症状がマスクされてわからなくなることがあります。診断の補助としてDLSTがありますが 5-ASA服用可能な患者さんの中にも検査するとDLST陽性の方もいらっしゃるのであまりあてになりません。治療として減感作療法があります。少量から開始し漸増していく方法です。うまくやれば文献的には80%-90%服薬可能になるそうです。ペンタサ顆粒は1粒1mgなのでこれを使用するとよいでしょう。この方法は時間がかかる治療なのでアレルギー症状が軽微な患者さんしかできません。