2022/7/25 ビオフェルミンWEBセミナー

ビフィズス菌を中心とした臨床的観点からプレ・プロバイオティクスの活用

藤田医科大学 消化器内科学 主任教授 廣岡 芳樹 先生 講演

 

腸内細菌は大腸内に腸内細菌叢(フローラ)を形成し そのもの自体とその代謝産物が全身に影響を及ぼします。有用菌:菌がつくる代謝産物が宿主によい効果を発揮する。ビフィズス菌、

日和見菌:有用菌 病原性菌の優勢な方に加勢する、乳酸菌 ブドウ球菌 バクテロイデス、

病原性菌:菌の代謝物が便秘 下痢 癌など宿主に悪い効果を与える、大腸菌 フソバクテリウム。

これら3つの菌はクロスフィーディング:協調してフローラを形成します。有用菌:日和見菌:病原性菌=2:7:1の比率ですがそのときの宿主の状態によりその割合は変化します 有用菌の代表はビフィズス菌でその代謝産物の主体は短鎖脂肪酸です。短鎖脂肪酸には酢酸 酪酸 プロピオン酸があります。酢酸は病原性菌を殺菌して整腸作用、酪酸は免疫調整作用、プロピオン酸は腸のエネルギーなどの働きがあります。酪酸はミトコンドリアを活性化しエネルギー産生を上昇させ大腸粘膜の栄養となります。

腸内細菌叢が乱れることをディスバイオシスと呼びますがその原因は 長期的な偏った食事 生活習慣の乱れ 不要な薬物 加齢 過剰な衛生環境です。ディスバイオシスが関連する病態として 消化器疾患 アレルギー 肥満・糖尿病 動脈硬化 癌 腎疾患 老化 アルツハイマー病、パーキンソン病 うつ病などが挙げられています。炎症性腸疾患(クローン病 潰瘍性大腸炎)ではビフィズス菌の減少 酪酸産生菌の減少 病原性菌の増加が報告されています。過敏性腸症候群ではビフィドバクテリウム、バクテロイデスの減少が報告されています。大腸癌には病原性大腸菌やフソバクテリウムが関与すると報告されています。

プロバイオティクスとは生体に有益な効果を発揮する生きた細菌のことで一般にはヨーグルトです。プレバイオティクスとは腸内の有用菌に働きかけ有用菌を選択的に増加させて身体に有用な効果を発揮する難消化性の食物で一般には食物繊維 オリゴ糖などです。有用なプレバイオティクスとしてはケストースがあり これを摂取するとビフィズス菌、酪酸産生菌が著明に増加するそうです。ビオフェルミンは慢性便秘症にも有効です。