2022/7/26 第3回 潰瘍性大腸炎 Seminar in 大分

潰瘍性大腸炎におけるウステキヌマブ(ステラーラ)のポジショニング

 

上記の演題で大分大学 消化器内科 村上 和成 先生が司会をされ 富山県立中央病院 消化器内科 部長 松田 耕一郎 先生が講演してくれました。

 

潰瘍性大腸炎の治療目標はステロイドフリー寛解と粘膜治癒ですが 最近は次のステップの組織学的治癒も目標にされるようになりつつあります。潰瘍性大腸炎で組織学的治癒を達成すると腹部症状がなくなり 再燃しにくくなり 入院 手術 発がんのリスクが減じます。

潰瘍性大腸炎難治例の治療としてプリン代謝拮抗剤(イムラン)があります。イムランが適応の患者さんは10年で50%程度維持できますが 若い頃から長期に投与すると血液疾患 リンパ系疾患が増加します。

抗TNF-α抗体(レミケード、ヒュミラ)の日本での実臨床での5年の継続率はレミケードとヒュミラは同程度で30%ぐらいです。副作用として乾癬様皮疹があり 体幹 四肢以外に 口角 鼻腔 耳孔 耳介周囲などにも皮疹がないか注意が必要です。治験では 短期効果において 寛解率は高くないが有効率は高い成績でした。

潰瘍性大腸炎に対する実臨床におけるステラーラの有効性は寛解率:2週:60%、4週:80% 8週:90%でプラトーになり長期維持できます。2週ぐらいからグッと効いてくる印象です。エンタイビオは寛解率:4週25%、8週:50%、24週:70%でプラトーになり長期維持できます。ステラーラに比べると効果発現のスピードは緩徐です。エンタイビオは腸管選択性が高いので腸管外合併症などのためにステロイドがなかなか離脱できないことがあるからかもしれません。ステラーラもエンタイビオも長期の維持率はどちらも高率です。ステラーラで初回投与後 2ヶ月後の次回投与まで寛解にならず炎症が慢性持続している患者さんには ステロイド未使用の方にはステロイド併用、その他 局所療法、プログラフ 白血球除去療法などを追加します。