2022/8/25 JAK阻害剤を考える会 in 北九州
潰瘍性大腸炎治療における新規JAK阻害剤Filgotinib(ジセレカ)への期待
上記の演題で芦屋中央病院 病院長 櫻井 俊弘 先生がご司会をされ 福岡大学 消化器内科学 主任教授 平井 郁仁 先生が講演してくれました。
潰瘍性大腸炎の病態では核内のセカンドメッセンジャーはStat3, Stat6がメインです。
オンコスタチンMの高発現は抗TNFα抗体の抵抗性と関連しています。
バイオ製剤は投与により免疫原性をきたすことがあるので投与開始すると中止しにくいですが経口剤は比較的中止し 再開しやすいのが良い点です。治験の成績においても1回目の投与で有効になったのち中止後に 再燃し再投与しても同様の有効性が得られます。投与開始後 症状や採血データなど何か一つでも改善があれば3ヶ月程度治療を継続して有効性を判断します。これまでの研究結果から ジセレカはバイオ1剤または1種類までは有効性が高いですが バイオ2剤以上または2種類以上使用後に投与しても効果が落ちます。潰瘍性大腸炎に関連した関節痛にもよく効きます。重症度は中等症までで 他剤で完全に寛解導入できず ぐずついている患者さんに変更して投与するとよいでしょう。ゼルヤンツは重症例や他剤無効例にも効果を発揮することがあります。帯状疱疹や深部静脈血栓はゼルヤンツほどではありませんが少し増加します。