2022/8/3   IBD Web セミナー

Best of DDW 2022

上記の演題で 北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター センター長 小林 拓 先生が講演してくれました

 

潰瘍性大腸炎においてバイオ製剤の1剤無効例 他剤無効例において次に使用するお薬ではゼルヤンツのほうがエンタイビオより効果があります。

ジセレカは年齢による有効性の差はありませんが 治験において高齢者で死亡例がでているので高齢者に対して投与するときにはしっかり観察することが必要です。ジセレカは経口薬なので一度中止後再燃したときに再投与しても効果は落ちません。

クローン病においてインフリキシマブ(レミケード)+イムランで寛解維持している時に①レミケード+イムランを継続、②イムランを中止 ③レミケードを中止 このような3群に分けて経過を観察すると①と②は再燃率に変わりがありませんでしたが ③は有意に再燃が多くなりました。しかし再燃してもすぐにレミケードを再投与するとほとんどの症例で再寛解導入できました。再燃してもすぐにレミケード投与すれば2年間の観察では 寛解維持期間は①と③でかわりありませんでした。

日本ではできませんが 病状にかかわらず薬物血中濃度を測定してそれに応じて治療すると再燃を減らすことができます。

ステラーラは癌の発生を増加させません。

免疫抑制治療を3種類併用すると著明に肺炎のリスクが上昇します。

炎症性腸疾患患者と一般人では新型コロナウィルスワクチン予防接種後の抗体価(液性免疫)は一般人のほうが高いですが細胞性免疫はかわりありません。

予防接種は3回が2回よりさらに有効で 副反応は3回目のほうが2回目より少なくなります。

炎症性腸疾患患者は心臓病が多いです。

深部静脈血栓は潰瘍性大腸炎のほうがクローン病より多く 入院中に発症すると死亡のリスクになるので発症しないように予防検査 治療することが大切です。

潰瘍性大腸炎で手術前にC.difficileに腸が感染していると術後の難治性回腸嚢炎を発症しやくなります。

クローン病で手術後に腹腔内膿瘍 吻合部のリークが起こった患者さんは再燃しやすく次の手術までの期間が短くなります。

クローン病で回盲部切除後の吻合部上の潰瘍は小腸や大腸の潰瘍と同様に再燃のリスクになります。

クローン病で粘膜治癒(内視鏡検査で潰瘍がない)+Transmural healing(MREで炎症がない)を達成すると将来 ステロイドの使用 入院 特に手術がより少なくなります。

バイオ製剤の休薬についてはバイオ製剤を導入した患者さんは難治例であるので 完全に中止するのではなく 休薬可能な条件を見つけ それに適合する患者さんには投与間隔を通常より延長しても良いのではないでしょうか?