2022/8/22 カログラ錠新発売記念講演会 in 九州
潰瘍性大腸炎のパラダイムシフト
潰瘍性大腸炎の病態と治療:福岡大学 消化器内科 主任教授 平井 郁仁 先生
中等症の潰瘍性大腸炎における治療薬の位置付けを考える:佐賀大学医学部 消化器内科
教授 江崎 幹宏 先生
芦屋中央病院 病院長 櫻井 俊弘 先生が総合司会をされ 上記の2名の高名な先生が
ご講演されその後パネルディスカッションがありました。
TNFα、IL-1β、IL-6などは発病時に主態をなすサイトカインです 調節性T細胞の活性化によりそれらを抑えます。
エンタイビオはα4を抑制するので同時にβ7も抑制することになりT細胞以外の白血球の上皮への接着も抑制します。カログラは開発時の第II相の治験では非常によい成績でしたが以前の第III相の治験ではプラセボの有効性が高すぎたため統計学的に有意差をみとめませんでした。これは内服の錠数が多くて来院頻度が高いとプラセボの効果が上昇するためです。
カログラに適した患者さんは まずは5-ASA製剤の高用量投与でも腹痛 下血などの症状が改善しないかたです。症状が激しければステロイド全身投与になりますが そんなに激しくない方はカログラがよいでしょう。また 直腸炎型で局所療法併用でも寛解導入できないかたもよい適応です。一度中止後の反復投与でも有効性は変わらず 副作用も増加しません。同様の作用機序のバイオ製剤:タイサブリ(ナタリズマブ:抗α4インテグリン抗体)を長期に投与すると進行性多巣性白質脳症(PML)の発症が報告されています。この病気は発症すると有用な治療法がなく致死的です。半年までの投与ではPMLの発症は0例ですが1年以上継続して投与すると急に増加します。ですからカログラも投与は6ヶ月以内に終了すればPMLの心配はまずないと思われます。お値段は1日約4800円で1ヶ月約15万円です。ジセレカ200mg/日投与とほぼ同じ価格です。