2023/1/11 UCオンラインセミナー

潰瘍性大腸炎の治療 ~新規薬剤を含めて~

浦添総合病院の金城 福則先生がご司会をされ

那覇市立病院 消化器内科部長 豊見山 良作先生が上記演題でご講演されました

 

潰瘍性大腸炎の治療において今日においてもステロイドは治療の中心ですが ステロイドを初めて投与した患者さんの35%がステロイド依存症に陥っています。またステロイドを30mg/日以下の低用量で投与するとステロイド依存症のリスクを高めることになります。新型コロナ感染症において感染後重症化する可能性の高い薬剤としてはステロイド、アザチオプリン(イムラン アザニン ロイケリン)、バイオ製剤+アザチオプリンです。抗TNFα抗体(レミケード ヒュミラ シンポニー)単独の治療は重症化リスクが低く 他のバイオ製剤、分子標的薬も比較的安全です。

カログラは潰瘍性大腸炎悪化時の寛解導入に用いますが日本人を対象とした治験において初回投与の改善率:70%で、投与中止後の再投与の時の際の改善率:70%で効果は落ちません。重篤な副作用は0%、投与中止は1%(薬剤アレルギー)です。禁忌は:妊婦さん 肝硬変(Child: C)です。価格は約4800円/日 で1ヶ月約15万円です。ジセレカ200mg/日投与とほぼ同じ価格です。

カログラに適した患者さんは軽症よりの中等症で、重症よりのかたはステロイドを投与したほうがよいでしょう。また直腸炎型のかたで局所療法の試行が苦手な方にもよいかもしれません。1日24錠服用しなければならないのが欠点です。最近新規JAK阻害剤としてリンヴォックも臨床に登場しました。リンヴォック、ゼルヤンツは抗TNFα抗体で1次無効 2次無効の患者さんに投与するとよいでしょう。リンヴォックの副作用は白血球減少です。ジセレカはステロイド抵抗性患者さんでバイオ製剤の投与前に使用するとよいかもしれません。