2023/10/10 スキリージ インターネットライブセミナー

IBD新時代! スキリージによるこれからのクローン病治療

ひだ胃腸内視鏡クリニック 院長 樋田 信幸 先生が上記の演題でご講演されました

 

クローン病は臨床寛解であっても60%の患者さんでバイオマーカーが陽性で、85%で小腸に病変が残っています。小腸病変が残れば再燃による手術 入院が増加します。抗TNFα抗体で臨床寛解になっても大腸の粘膜治癒率:80%、小腸の粘膜治癒率:40%です。小腸を治すには大腸よりバイオ製剤を高濃度にする必要があります。

TNFαと異なりIL12, IL23は直接的な細胞障害はありません。IL12はTh1細胞を産生させます。IL23は病原性Th17細胞を過剰産生させます。急性期のクローン病はTh1細胞とTNFαにより病態が形成されています。慢性期のクローン病はTh17細胞とIL6により病態が形成されています。IL12は急性炎症の引き金になり、IL23は慢性腸炎の根源となります。マウスのモデルでは慢性腸炎にはIL12よりIL23の方がより重要でした。スキリージはIL23を選択的に抑制するバイオ製剤です。ステラーラはIL12とIL23の両方を抑制するバイオ製剤です。IL23への親和性はスキリージがステラーラより高いので炎症局所でより高濃度で働くことができます。クローン病に対する治験では スキリージ600mg静注3回後30%の患者さんに効果を認めなかったのですが そこで諦めず1ヶ月後にさらにスキリージ360mg皮下注するとそのうちの70%の患者さんに効果がでてきます。スキリージの適した患者さんは バイオ製剤未投与の方ですがバイオ無効例にもよく効きます。重症例には中等症より効果が落ちます。