2023/11/3 JDDW ブレックファーストセミナー
“これからのクローン病治療”リサンキツマブ(スキリージ)への期待
-実臨床での経験を踏まえて-
弘前大学 消化器血液内科教授 櫻庭 裕丈 先生
クローン病は再燃をくりかえすことにより不可逆な腸管障害(狭窄 瘻孔)が進行する病気です。小腸病変は腹痛 下痢などの臨床症状では判定できないので画像評価などで粘膜治癒を評価することが大切です。
スキリージのクローン病に対する治験では内視鏡寛解維持率が高いことから2次無効が少ないことが期待されます。
抗TNFα抗体(レミケード ヒュミラ)の作用機序は リンパ球にアポトーシスを起こすことと マクロファージよりのIL12, IL23の放出を防ぐごとです。2次無効になるとIL23の持続放出によりリンパ球のアポトーシスが起こりにくくなります。種々の報告によると 慢性で完成した炎症では L12とIL23の両方をおさえるより IL23だけを抑える方が望ましいようです。クローン病は粘膜表層のみの炎症ではなく全層性炎症ですが MRIなどで評価し全層性炎症を改善させると予後改善につながります。そのためにはバイオ製剤の血中濃度の上昇が必要です。肛門病変にはTNFα産生細胞やIL23産生細胞の浸潤を認めますが肛門病変改善にもバイオ製剤の血中濃度の上昇が必要です。ステラーラよりスキリージが優れている点はIL23抑制の効率がより良いことです。またp19を抑えるところが異なります。