2023/11/4 2023 JDDWイブニングセミナー
大阪大学の新崎 信一郎先生が新規バイオマーカー LRG 便中カルプロテクチンの講演をしてくれました。
炎症性腸疾患:潰瘍性大腸炎とクローン病の病態は腸管免疫担当細胞の異常活性化です。これには腸内細菌、遺伝的素因、環境因子が関わっています。
血液マーカーのLRGは炎症の部位や炎症の起こった腸管において 様々なサイトカインで誘導され 疾患活動性と高い相関があります。
便中マーカーの便中カルプロテクチン(FCP)は腸管粘膜固有層の好中球から放出され粘膜治癒を反映します。定量性はありません。
便潜血反応(FIT)は内視鏡的完全粘膜治癒:MES0を反映します。FCPとFITを併用すると潰瘍性大腸炎において今後の再発のリスクを高率か低率か判定できます。
CRPも血液の炎症マーカーですがIL-6の作用により肝臓で産生されます。
LRGは IL1β、IL22, TNFαなどの作用により 炎症性腸疾患の末梢血単球 潰瘍性大腸炎では特に腸管炎症部位で高発現します。LRGはCRP:陰性の時に炎症マーカーとして役立ちます LRGは特にクローン病において小腸炎症の活動性 内視鏡的活動性の評価に有用で 貫壁性の活動性(transmural activity)を反映します。<16:臨床寛解 <13:内視鏡的寛解 <10:貫壁性寛解(transmural healing) 最初低値でだんだん上昇してきて>14になると再燃 入院の兆しになりそうです。FCPは クローン病ではデータのブレが大きく、潰瘍性大腸炎において内視鏡的活動性 内視鏡的寛解を評価するのに役立ちます