2023/12/12 UC Web Seminar
潰瘍性大腸炎の新規治療薬
-オンボーの有効性からみる期待-
北里大学医学部消化器内科学 講師 横山 薫 先生が上記の演題で講演されました。
ステロイド イムラン プログラフなどの経口薬(低分子化合物)は多彩な作用を示しますが標的となる細胞が広範囲なので副作用が多いです。
生物学的製剤は特定の分子をターゲットとするので求める免疫作用は限定的となり標的細胞 標的分子への特異性が極めて高いのでオフターゲットの副作用は生じにくいのが特徴です。
TNFαは末梢系サイトカインで炎症の現場で炎症を惹起させるサイトカインです。
抗IL12/23抗体(ステラーラ)は炎症の上流をストップして結果的にTNFαを抑制します。IL23をストップすると病原性のTh17細胞を抑制できますが非病原性のTh17細胞は抑制しません。オンボー(ミリキズマブ)はIL23を特異的にストップする生物学的製剤です。大規模治験の成績では短期効果はバイオナイーブ群のほうがバイオ不応群を上回っていますが1年経つと同等になります。この結果よりバイオ不応群は効果発現が緩徐なのかもしれません。日本人においては1年後にミキリズマブへの抗薬物抗体陽性率:50% 中和抗体陽性率:30%です。まだはっきりしませんが長期予後に影響するかもしれません。
便意切迫:トレイへのかけこみ この症状の改善を患者さんは希望されています。便意切迫感 夜間排便があるとその患者さんのQOLが低下しますが これらが改善されると再燃しにくくなります。オンボ-の利点は12週の寛解導入治療で今ひとつでも導入治療をもう12週継続できる点、また皮下注で維持治療中に再燃して場合 静注で再寛解導入できる点です。分子標的薬のお薬に多剤抵抗性の患者さんにも有効性が期待できます。