2023/12/18 UC Internet Live Seminar

カログラ錠の上手な使い方   ~実地臨床医からのメッセージ~

浜松医科大学 内科学第一講座 教授 杉本 健 先生がご司会され ひだ胃腸内視鏡クリニック 樋田 信幸 先生が上記演題でご講演されました。

 

潰瘍性大腸炎治療の基本は5-ASA製剤とステロイドです。5-ASA製剤は粘膜に直接作用し炎症を抑えます。このことから潰瘍性大腸炎の軽症では局所の自然免疫を制御すれば病気をコントロールできます。

局所製剤を上手に使用することも大切です。坐薬は直腸まで、フォーム剤はS腸結腸まで 注腸剤は下行結腸まで到達します。

ステロイドは初回の投与では短期的には90%の有効性があります。(そのうち寛解34%)しかし投与回数を重ねるごとに有効性は低下します。またステロイド全身投与の60%から70%が難治化して次の治療が必要になります。潰瘍性大腸炎のステロイド難治例は病態が複雑ですがこれはステロイド治療の結果かもしれません。

カログラはインテグリン:α4β1とVCAM-1及びα4β7とMAdCAM-1との結合をdualに阻害する経口のお薬です。インテグリンは細胞-細胞間や細胞-細胞外マトリックス間の相互作用を担う膜貫通型の糖タンパク質です。カログラはインテグリンの発現を抑える事により 全身の免疫機構を大きく変えずにリンパ球(Th細胞)好酸球浸潤を抑制します。治験の成績では12週以上投与しても治療成績は向上しないので8~12週で内視鏡所見を参考に中止時期を決定します。

カログラ錠の好適患者さんは ①5-ASA治療で効果不十分 ②ステロイドの副作用のため投与を避けたい ③局所療法ができない ④5-ASA内服+局所療法で効果不十分  ステロイド投与で効果不十分の時に追加治療もよいです。JAK阻害薬やバイオ製剤を導入する前に投与したほうがよいと思われます。副作用は20%程度で重篤なものはなく 頭痛 咳が多かったです。軽い頭痛なら服薬継続すると改善していきます。