2023/3/11 Upadacitinib UC National Symposium in Osaka

-Consider optimal use in the UC treatment-

 

上記演題で日本の炎症性腸疾患のトップリーダー達が結集し潰瘍性大腸炎に対するリンヴォックの使用方法を論議しました

 

リンヴォックの長期安全性のデータでは心血管イベントの増加はない 、血球減少 、肝障害などがある 30mg/日と15mg/日で副作用の発症率はかわりない。日本での報告ではまだ期間が短いが重症の副作用はほとんどない。有効性は用量依存であるが副作用は全体として用量に関係ない 帯状疱疹は投与期間にかかわらず発症するので注意が必要。帯状疱疹のリスク 日本人、高齢者、帯状疱疹の既往がある患者さん、JAK阻害薬高用量でリスクが上昇  患者さんには ワクチン(シングリックス)をすすめ 早く発見して治療すれば重症化しないことをよく説明し 変だとおもったらすぐに医療機関に受診することを勧めることが大切。

リンヴォックの寛解導入の投与量:45mg/日はゼルヤンツ、ジセレカと比較してより多い投与量なので効果発現が早い。切れ味がよい 8週投与で1次無効(全く効いていない)でなければ16週まで投与継続すると有効な患者さんがいる。潰瘍性大腸炎は病態がヘテロなのでJAK阻害薬は多くのサイトカインを抑えるので幅広く使用できる。広くサイトカインを抑えるので副作用に注意が必要。維持治療では30mg/日の方が15mg/日より有効性が高い。使い分けは前治療抵抗性、難治性が高い患者さんには30mg/日で維持 高齢者、バイオナイーブな患者さんには15mg/日で維持 45mg/日から30mg/日に減量すると再燃する患者さんもいるので 可能なら便潜血 便中カルプロテクチン LRGの正常値化、大腸カメラでの粘膜治癒を確認して減量する

バイオ製剤は抗薬物抗体の産生を防ぐために維持投与の必要があるがJAK阻害薬は低分子化合物なので抗薬物抗体ができないので休薬もできる。短期間で完全に寛解導入できれば休薬できる可能性がある

最適患者は中等症外来で活動性の高い患者さん 活動性の低い患者さんはステラーラが適当 経口薬を好む患者さん、バイオ製剤無効例にも有効 入院患者さんで多剤抵抗例でも有効な場合がある 入院患者さんではプログラフ レミケードの次に位置する。関節症状 皮疹のある患者さんにもよい 高齢者や妊娠の可能性のある女性には不適

JAK阻害剤の使い分けについて

ゼルヤンツはJAK1,2,3を抑える ジセレカはJAK1選択性が高い リンヴォックもJAK1選択性が高いが他のJAKも少し抑える ジセレカは腎機能が低い患者さん(GFR<60)では100mg/日投与する。ゼルヤンツ高用量無効例 ジセレカ無効例からのスイッチでも有効な場合がある