2023/3/24 Crohn’s disease Clinical Practice Web Seminar

肛門病変を考慮したクローン病治療

土庫病院 院長・大腸肛門病センター長 吉川 周作 先生

 

クローン病の痔瘻は肛門管皮膚瘻であるので外瘻と考え 痔瘻を有するクローン病患者さんは穿孔型として分類するほうがよいでしょう。

クローン病の肛門病変を最初からしっかり治療することにより 狭窄をきたさないようにして 結果として人工肛門の造設を防ぐのがクローン病肛門病変治療の目的です。

10歳台で発症した痔、痔瘻はクローン病の可能性が高いので 早めの大腸カメラ 胃カメラ できれば小腸の検査(小腸カプセル内視鏡 小腸透視など)を行いましょう。クローン病を疑う怪しいところがなくても数年は経過観察しましょう。症状が再発した時は再受診を勧めましょう。痛みのないクローン病肛門病変もあります。

クローン病による痔瘻の治療はキチンとドレナージしたのちにバイオ製剤を併用することが大切です。効果がない時はイムラン アザニンの併用、バイオ製剤の増量 バイオ製剤の変更などが必要です。クローン病痔瘻に対して最初に使用するバイオ製剤はレミケードです。ステラーラは短期の寛解率は高くありませんがだんだん効いてきて効果が出た患者さんには有効性が長続きします。

クローン病の直腸病変の炎症が強い患者さんは腸管病変の治療をしっかりすることが痔瘻の悪化を防ぎます。