2023/3/5 IBD Clinic Specialist seminar

潰瘍性大腸炎治療の現状と課題

青山内科クリニック 院長 青山 伸郎 先生がご司会され 大阪医科薬科大学 第2内科専門教授 中村 志郎 先生が上記演題でご講演されました

 

中村先生のご施設では 潰瘍性大腸炎患者さんの治療で最初からステロイド投与が必要であった割合は40%で、投与するとそのうちの75%が一度有効ですが 2年たつと そのうちの70%が難治化します(ステロイド依存50% ステロイド抵抗20%)

5-ASA製剤単独で治療できたのは残り60%ですが その後難治化したのはそのうちの10%です。臨床においてステロイド投与前に治療を充分行うことが大変大切です。

全大腸型の潰瘍性大腸炎患者さんも再燃時には直腸 S状結腸に再燃することが多いので坐薬 注腸剤を上手に使用することが重要です。坐薬は80%の患者さんが受け入れてくれますが 液体の注腸剤は40%、 フォームの注腸剤(レクタブル)は70%です。レクタブル注腸は症状の改善では1日1回でも2回でもその効果は同じですが 粘膜治癒では2回行うほうがより有用です。

レクタブル注腸で粘膜完全治癒:MES0を達成するとその後1年で50%寛解維持できます。粘膜治癒:MES1では1年で30%寛解維持できます。カログラは出血が完全になくなるとその後1年で50%寛解維持できます。ですので再燃しても年に1,2回投与するとひどい再燃をおこさず生活できるかもしれません 坐薬 注腸が苦手な患者さんにカログラが良いと思われます

抗TNF-α抗体、ステロイドを投与すると接着因子MAdCAM-1の発現を抑制するので カログラはステロイド 分子標的薬を投与するより前に導入したほうがよいでしょう。