2023/4/15 Inflammatory Bowel Disease Anusを語る会
若年発症クローン病の肛門病変治療
クローン病関連痔瘻癌に対する低侵襲手術
クローン病関連直腸肛門部癌における外科的治療
上記の演題で九州の著明な外科、内科の先生が講演 討論されました。
クローン病の痔瘻、肛門周囲膿瘍に対しシートンドレナージしたら 必要な患者さんにはできるだけ早くバイオ製剤を導入し 導入後は1,2ヶ月でシートンを抜去します。肛門病変の発症と腸管病変の活動性は関係ありません。小児のクローン病活動性評価のスコア(PCDAI)には大人のスコアと異なり肛門病変の評価が入っています。
クローン病に合併した癌は一般に左側大腸に多いですが特に日本人では痔瘻癌が多いです。早期発見が困難で 症状が出てから発見された場合は進行癌が多く予後が悪いです。定期的な内視鏡検査が早期発見に必須です。完全切除できなければ局所再発が50%程度認めます。
複雑痔瘻から発がんすると痔瘻はアリの巣のように進展しているので広範囲切除に成らざるを得ません。確立されたevidenceはありませんが術後の集学的治療(化学療法+放射線治療)が予後の改善に必要です。術前よりバイオ製剤で加療中であった場合も 術後にバイオ製剤は中止せず癌治療と並行して投与継続します。
抗TNFα抗体(レミケード ヒュミラ)で痔瘻が根治できない時はステラーラ エンタイビオに変更します。痔瘻癌の早期の発見のためには 内視鏡検査では癌が疑われる病変がある時には反転して特に直腸肛門部に注意して生検します。痔瘻の1次孔からのボーリング生検が有用な場合もあります。狭窄があると内視鏡では生検できませんので麻酔して生検します。瘻管よりの擦過細胞診も有用なことがあります。
早期癌で発見できない場合もありますが定期的なMRIが癌の発見に役立つことがあります。直腸指診で肛門狭窄が固くなったと感じられる時や患者さんの症状 訴えが変わった時は画像診断を行い癌のチェックをすることが大切です。