2023/5/18 カログラ錠発売1周年記念WEB講演会
令和4年度治療方針改訂を踏まえた新たなUC治療戦略
~経口α4インテグリン阻害剤の役割~
杏林大学医学部 消化器内科学 教授 久松 理一 先生がご司会され 大阪医科薬科大学 第二内科 専門教授 中村 志郎 先生が上記演題でご講演されました
潰瘍性大腸炎に対し経口ステロイドを投与すると2年後には70%の患者さんが難治例になります。5-ASA製剤(ペンタサ アサコール リアルダ)で治療が上手くいっている患者さんは将来10%程度しか難治化しません。潰瘍性大腸炎の治療は長期にわたるので難治化させないことが重要です。
ステロイドの代替治療が必要とされています。初回治療の再発部位は直腸 S状結腸が多いので局所製剤(注腸薬 坐薬)を上手く使用できればよいのですが 局所製剤の受け入れ率は50% 寛解率は50%なので 経口5-ASA製剤を高用量で投与しても病状がよくなるのは全体の25%程度です。そこでカログラを局所製剤の代替治療として利用すると良いでしょう。また難治例に対する主として軽症、遠位 左側の再燃に対して追加の治療として有用かもしれません。例えばバイオ製剤投与中の2次無効、分子標的薬投与したが寛解に達しない、ステロイド離脱困難例での追加治療などです。
カログラは維持治療には使用できませんが 寛解になると寛解維持期間は比較的長いので 腹痛 下痢 下血などの症状悪化時にon demandで服用するとよいかもしれません。カログラ終了後にすぐに再燃(3ヶ月以内)する場合はエンタイビオなどに変更したほうがよいでしょう。