2023/6/19 スキリージ インターネットライブセミナー

クローン病におけるIL23の役割と選択的IL23阻害薬スキリージへの期待

滋賀医科大学医学部 消化器内科 教授 安藤 朗 先生が上記の演題でご講演されました

 

クローン病は 食事抗原や腸内細菌によるマクロファージと樹状細胞の活性化が起点となりTh1細胞とTh17細胞の持続的活性化が病態の中心です。

Th細胞は本来すぐにアポトーシスによりすぐに排除されます。マクロファージからの膜型TNFがTh細胞で活性化するとTh細胞がアポトーシスせず長期に存在してしまうのもクローン病の病態の1つです。

TNFを抑制すると多彩な急性期反応が抑制されます。IL-17はTNFに働きが似ていますがその効果は強くありません。抗TNFα抗体の効果減弱はマクロファージからのIL23によりTh細胞が活性化するのがメカニズムの1つです。

Naïve T細胞はIL12によりTh1細胞へ分化します。IL12はIFNγを介してTh17細胞を抑制します。IFNγは自然免疫系細胞(マクロファージ、樹状細胞)を活性化しますが 抗IFNγ抗体は治験においてクローン病に対して効果を認めなかったです。

IL23はnaïve T細胞からTh17細胞への分化、増殖を強力に誘導します。IL23を抑制すると小腸に分布する未分化なリンパ球も抑制できます。スキリージは選択的にIL23を阻害するバイオ製剤です。クローン病治療でスキリージにより寛解導入できると長期に寛解維持できますが抗薬物抗体産生率:3%、中和抗体:0%がその理由と思われます。ステラーラで効果がない 効果が減弱したクローン病患者さんにもスキリージは有効であることが経験されます。