2023/7/10 スキリージ インターネットライブセミナー

クローン病に対するIL23阻害薬スキリージへの期待

~実臨床での経験を踏まえて~

佐賀大学医学部内科講座 消化器内科 教授 江崎 幹宏 先生

 

スキリージはIL23を特異的にブロックする抗体製剤です。IL23に関わる遺伝子の多くは炎症性腸疾患の発現メカニズムに関連しています。IL23は樹状細胞 炎症性マクロファージから産生されます。IL23はTh17細胞を活性化させますがTh17細胞には病原性Th17細胞と非病原性Th17細胞があります。病原性Th17細胞から産生されるサイトカインは炎症を起こし、非病原性Th17細胞は人体にとって防御的に働きます。IL12はTh1細胞を活性化しますがTh1細胞を抑制すると細菌やウィルスに対する感染防御能が低下します。この点からIL12とIL23を両方抑制するよりIL23単独で抑制するほうが作用機序として望ましいと思われます。スキリージの治験の特徴は通常の臨床評価に加え内視鏡評価が盛り込まれている点です。また1年後の排液性の痔瘻なしの割合は70%と肛門周囲膿瘍への有効性も認められました。実臨床においてはステラーラ無効例にたいする有効性も報告されています。