2023/7/19 IBD最新情報Webセミナー

IBD患者さんの就労を考える

 

上記のテーマで 杏林大学 久松先生、東京慈恵会医科大学 猿田先生、東京医科歯科大学渡辺先生、北里大学北里研究所病院 日比先生がdiscussionされました。

 

一般には50%から80%の潰瘍性大腸炎患者さん 70%のクローン病患者さんが再燃と寛解を繰り返し、15%から30%の潰瘍性大腸炎患者さんは長期の寛解維持ができず、クローン病患者さんはほんの10%しか 再燃なしで長期寛解維持のコースをたどることができません。病状が回復すればある程度は労働生産性が改善します。しかし医学的には長期に寛解維持できているとしても疲労感、仕事上の悩み、楽しく生活ができないなどで 患者さんのうちある一定の割合で日常生活に支障を感じている方がいます。

IBD患者さんは職場に上手く病気のことを説明できていません。また大船渡病院の上野先生がおこなったIMPACT studyではIBD患者さんの80%は次の再燃を心配し、 70%は病気をかかえていることでプレッシャーを感じ、常に病気に関する不安を抱えています。また具体的な悩みとしては勤務中に病院に行けない トイレに行けない があります。IBD患者さんの多くは これらの悩みを 自分の内に納めているか 上司と非公式に相談するかで 制度は利用していないことが多いです。このため勤労環境や周囲の理解 配慮が得られず 就職や仕事の継続が困難な患者さんがいらっしゃいます。IBDを含めた難病患者さんは障害者総合支援法の適応です。身体障害者手帳を持っていれば雇用援助の対象となります。手帳をもっていなければ職業リハビリや就労継続のための助成などの適応になります。