20230828 UC Web Forum
潰瘍性大腸炎の基本治療を再考する
-ブデソニド腸溶性徐放錠コレチメントへの期待-
JCHO四日市羽津医療センター IBDセンター 副院長・IBDセンター長 山本 隆行 先生
潰瘍性大腸炎の内科治療は急速に進化し 生物学的製剤やJAK阻害剤に代表される新規薬剤は潰瘍性大腸炎の特に難治例の予後改善に貢献しています。しかし潰瘍性大腸炎患者さんの多くは5-ASA製剤やステロイドなどのベースライン治療で対応されており それらの薬剤を中心とした基本治療薬の役割は依然として大きいです。
5-ASA製剤(ペンタサ アサコール リアルダ)を最も有効に使用するには 中等症では最大量を投与します。寛解導入の際4g/日1日1回と4g/日1日2回では臨床改善 粘膜治癒において4g/日1日1回の方が成績がよいです。維持治療において2g/日1日1回と2g/日1日2回では寛解維持率で2g/日1日1回のほうが成績がよいです。アドヒアランスの向上のため内服回数をできるだけ少なくするとよいです。
局所製剤は併用すると経口薬単剤より有効です。ペンタサ坐薬は8週投与後に50%が粘膜治癒を達成できます。
5-ASA製剤治療中の高熱 腹部症状の悪化時は5-ASA不耐症の可能性もあり注意が必要です。
ブデソニドは腸管から吸収された後 肝臓で80%以上が代謝され副作用が少ないステロイドです。コレチメントはMMXテクノロジーを有することによりブデソニドをできるだけ大腸でゆっくり放出されるように設計された経口薬です。海外の臨床試験の結果ではコレチメント9mg/日は5-ASA製剤に不応であった軽症~中等症の潰瘍性大腸炎患者さんに追加投与すると有効で安全でした。日本の臨床治験ではアサコール3600mg/日の治療成績を上回ることができませんでした。5-ASA製剤に不耐 不応の軽症・中等症の潰瘍性大腸炎の治療においてステロイド内服前に投与するお薬です。ステロイド内服薬と比して糖質コルチコイド作用が弱く安全性が高いです。1日1回1錠内服であるので良好は服薬アドヒアランスが期待されます(投与は8週まで)
コレチメントの投与対象はカログラと被りますが両者の使い分けはこれからの検討事項です。