2023/9/13 IBD Seminar Katariba

一から考える潰瘍性大腸炎におけるステロイドの使い方

東邦大学医療センター 佐倉病院 消化器内科 教授 松岡 克善 先生がステロイドの使い方について講演してくれました。

 

潰瘍性大腸炎重症例で内科治療が奏功せず手術で治療後 重症感染症を起こすことがありますが その場合は手術前の内科治療に問題があるかもしれません:栄養状態が悪いのに内科治療を引っ張る、ステロイドなど免疫力を下げるお薬を使いすぎるなど

潰瘍性大腸炎に対しステロイドを使用する場合は ステロイド依存例を作らないように留意しなければなりません。

最初のステロイド投与量が少ない:≦30mg/日 減量が早すぎたりするとステロイド依存のリスクになります。

ステロイド抵抗例の場合は5-ASA を併用していれば5-ASA 不耐の可能性や サイトメガロウイルス感染症の除外を考慮することが必要です。

ステロイドで完全によくなるがまた再燃する患者さんには次回ステロイド投与のさいにイムランを併用するとよいでしょう。

メタアナリシスによる解析ではステロイド投与の時に胃酸分泌抑制薬の併用は必要ありません。

ステロイド投与を3ヶ月以内に終了すれば骨粗鬆症になりませんが 栄養状態の悪い患者さんにステロイドを導入すると短期間で骨折をおこすこともあります。

レクタブルは副作用が少なくてよく効く注腸フォーム剤ですが 長期間投与すると経口ステロイド投与と同様に副腎不全 ムーンフェイス にきび などの副作用が起こってきます。