2024/11/26 Ulcerative Colitis Web Seminar

潰瘍性大腸炎治療における抗TNFα製剤「ゴリムマブ」の使いどころ

滋賀医科大学 消化器内科 講師 西田 淳史 先生が上記の演題で講演をしてくださいました。

 

潰瘍性大腸炎は様々なサイトカインプロフィールを有するヘテロな病態です。

診断時から10年後までの腸管粘膜の遺伝子発現の変化を見ると診断時はTh1関連 TNFα関連の遺伝子が多く、10年後にはTh2関連の遺伝子が増加してきます。Th17関連の遺伝子は恒常的に発現しています。

バイオ製剤の効果予測は 重症度 血清アルブミン値 腸内細菌叢 サイトカインプロフィールが挙げられています。但し腸内細菌叢 サイトカインプロフィール 腸内細菌叢は現時点では実臨床では測定できません。

抗TNF-α抗体の2次無効の予測はHLAの関与が報告されていますがこれも実臨床では検査できません。

TNFは単一のサイトカインですが様々な炎症に関する生理機能を有しています 特に免疫細胞のリクルートやアポトーシスの回避などに重要な役割を演じています。

シンポニーはTNFに対する親和性が高く、また免疫原性が低いので抗薬物抗体の産生が低率です。

最近のネットワークメタアナリシスによれば投与2週目の寛解率が高いのはリンヴォック、レミケード、シンポニーの順です。投与2週目の有効率はリンヴォック、ゼルヤンツ、シンポニー、レミケードの順です。抗TNF-α抗体、エンタイビオ、ステラーラは妊娠中にも使用できるバイオ製剤ですが最もデータが多いのは抗TNF-α抗体で、流産 切迫早産 低体重出生児 先天性奇形などの確率は健常集団と同じ率です。ステロイド難治例に対し2番目に使用する場合は最初のお薬と作用機序が違うほうがより高率に効きます。