2024/2/27 UC Web Forum

5-ASAとステロイドの最適化

-潰瘍性大腸炎の基本治療をBrush upする-

東邦大学医療センター佐倉病院 消化器内科 教授 松岡 克善 先生が講演してくれました。

 

5-ASA 不耐は5-ASA 製剤投与開始後 最初は病状が改善していたにもかかわらず1、2週間の後に腹痛 血便 発熱がでてきます。

5-ASA 製剤を中止すると1~2日で症状がなくなります。DLST陽性は5-ASA 不耐をかなり疑いますが陰性だからといって否定はできません。賦形への不耐もあるので5-ASA 製剤の変更で50%ぐらい対処できます。

ステロイドの寛解導入効果は分子標的薬、JAK阻害薬のゼルヤンツと同等です。ステロイド20mg/日を1ヶ月以上継続する場合はST合剤の予防投与が必要です。潰瘍性大腸炎の患者さんにST合剤を併用するのは ご高齢の方とか他の免疫調節薬を併用しているときです。プロトンポンプ阻害薬はガイドライン上では併用の必要はありません。プロトンポンプ阻害薬の投与はクロストリジウム ディフィシル感染のリスクを上昇させる可能性があります。ビスホスホネートはステロイドを3カ月以上使用する患者さんには併用が必要です。

コレチメントは副作用の少ないステロイドのブデソニド製剤です。治験などで副作用が少ないことは確かめられていますが コルチゾールは低下するので投与は8週までです。

有形便で排便のあとに出血する方は病変範囲が直腸 S状結腸までです。軟便で便に血液が混じる方は下行結腸 全大腸に炎症があると思われます。

コレチメントが適した患者さんは 初発で5-ASA 不耐、ステロイドを使用するほど悪くない、レクタブルの到達範囲外(上行結腸 横行結腸 下行結腸)に炎症がある方などです。