2024/2/28 リンヴォック インターネットライブセミナー

潰瘍性大腸炎治療におけるリンヴォックの位置づけ

-エビデンスと使用経験から考察する-

 

東京慈恵会医科大学 消化器・肝臓内科 主任教授 猿田 雅之 先生がご司会をされ、

東邦大学病院 消化器内科 病院講師 志賀 永嗣 先生が講演されました。

 

炎症性腸疾患:クローン病 潰瘍性大腸炎の治療において、薬剤の反応性を明確に予測するバイオマーカーはない 有効性と安全性、疾患関連のリスクと治療関連の合併症を天秤にかけて治療方針を決定します。

5-ASA 製剤 ステロイドなどの基準薬でコントロールできないステロイド不応の潰瘍性大腸炎難治例に対して「どのadvanced therapyを どの順番で用いるか」は定まっていない。

advanced therapyの中には経口薬とバイオ製剤を代表とする注射薬があります。全体としては経口薬の方が注射薬より患者さんに好まれますが 特に投与間隔が8週以上の皮下注製剤か1日1回の経口薬が好まれます。経口薬がバイオ製剤より優れている点としては 患者さんの受容性が高く 処方も用意で 抗薬物抗体による効果減弱の懸念がない点などが挙げられます。JAK阻害薬の1つであるリンヴォックは大規模治験において 便回数 直腸出血は1日目 腹痛 便意切迫感は3日目から改善を認め その効果発現の早さが証明されています。バイオ製剤既投与例でも同様の効果を認めます 副作用が帯状疱疹 CPK上昇です。

ネットワークメタアナリシスは主として中等症が対象ですが 経口薬では有効性ではリンヴォック>ゼルヤンツ>ジセレカです。

全体ではリンヴォック>レミケード>ゼルヤンツ>エンタイビオ>シンポニー>ステラーラ>ジセレカ>ヒュミラです。

厚労省の治療指針では 重症例や炎症反応が強い症例はプログラフがレミケードを優先して使用することになっています。

関節リウマチの治療において有効性は リンヴォック=ゼルヤンツ=ジセレカと報告されています。潰瘍性大腸炎においてはその用量は関節リウマチの用量に比較して ジセレカは同量 ゼルヤンツは2倍 リンヴォックは3倍です。この用量の違いが潰瘍性大腸炎の有効性の違いに関連していると思われます。

ジセレカは軽症よりの中等症 ゼルヤンツは中等症 リンヴォックは中等症から重症の患者さんに適しています。

海外の実臨床のデータでは 全員が抗TNFα抗体不応例で その中の約半数がゼルヤンツ抵抗性の患者さんにリンヴォックを投与すると 8週の有効率:80%、寛解率40%でした。日本の実臨床では投与1年後の継続率:77% 2年後:70%で バイオ未投与例と既投与例で有効性に大きな違いはないようでした。副作用は帯状疱疹とざ瘡でした。

大規模治験の副作用評価のおいても帯状疱疹のリスクはJAK阻害薬で 高用量、65歳以上 東洋人でより発症のリスクが増加します。

帯状疱疹発症の予防にシングリックスが用いられ 炎症性腸疾患患者さんにおいても予防接種により発症の低下が報告されています。リンヴォックの導入するさいには シングリックスの予防接種、寛解例における休薬などを考慮します。維持治療には30mg/日または15mg/日が選択されます。導入期の反応性で著効した患者さん 導入2,3ヶ月後の大腸カメラで完全粘膜治癒(MES0)の方は15mg/で維持可能です。リンヴォック導入前に分子標的薬を何剤も使用してきた難治例は30mg/日で維持したほうがよいでしょう。