2024/6/6 JAK阻害剤を考える会 in 大分
JAK/STATシグナルを標的としたIBDの治療戦略
~ジセレカ錠への期待~
聖マリア病院 消化器内科 炎症性腸疾患センター長、 久留米大学 名誉教授・客員教授 光山 慶一 先生が上記演題で講演されました
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎 クローン病)は腸内細菌と免疫細胞の相互作用の破綻により発症します。
青黛(インジゴ)は3型自然リンパ球からのIL22産生を促し粘膜バリアを強固にすることにより潰瘍性大腸炎の発症 悪化を防ぎます。
「プロバイオティクス」(Probiotics)とは「適正な量を摂取したときに有用な効果をもたらす生きた微生物」のことをいいます。その代表的なものが乳酸菌です。それに対し腸内の有用菌の働きを助ける物質のことを「プレバイオティクス」(Prebiotics)と呼んでいます。これは例えばビフィズス菌などの善玉菌の栄養源となりそれらを活性化させるオリゴ糖や食物繊維などのことです。いずれも腸内フローラを善玉菌に有利な状態に変化させます。
発芽大麦(GBF)はプレバイオティクスの1つですが腸内で酪酸産生を増加させ潰瘍性大腸炎の再燃抑制に効果があります。
TNFαはシグナル伝達にNF-κβを使用しInter-LeukinはSTATを使用します。
サイトカインの種類により対応するJAK-STATの種類が決定されます。炎症性腸疾患患者と炎症性腸疾患モデルの腸管ではSTAT3の活性化を認めます。JAK1-STAT3経路が炎症性腸疾患の病態形成に関与しています。
JAK1は炎症 抗ウィルス リンパ球分化 細胞性免疫などに関与しています。JAK阻害薬3剤:ゼルヤンツ、ジセレカ、リンヴォックの中で最もJAK1の選択性が高いのがジセレカです。ゼルヤンツ リンヴォックは他のJAKも少しですが阻害するので ジセレカは他のJAK阻害薬と比較して有効性は少し劣りますが安全性は最も高いです。