2024/7/12 Skyrizi UC Internet Live Seminar

スキリージが潰瘍性大腸炎で保険適応となり富山大学の渡辺 憲治先生が講演されました

 

スキリージはp19抗体でIL23を抑制することで、より効率的にIL17、IL17系細胞の働きを抑制します。IL17は自然免疫 獲得免疫の両方に作用し腸管免疫 腸管粘膜のホメオスタシスを維持しています。潰瘍性大腸炎においてはIL17に関連したサイトカインがその病態形成の中心になっています。

スキリージは自然免疫 獲得免疫の両方を抑えることで潰瘍性大腸炎の病態の多様性にも適正に対応できています。潰瘍性大腸炎のadvanced therapy(AT):ステロイド抵抗例/ステロイド依存例に使用されるお薬の中で抗炎症作用が強いのはレミケードやJAK阻害薬(リンヴォック、ゼルヤンツ、ジセレカ)です。安全性が高いのはゼルヤンツです。抗炎症作用と安全性のバランスがとれているのが抗p40抗体:ステラーラ、抗p19抗体:スキリージ オンボーです。

大規模治験における潰瘍性大腸炎に対する短期の治療成績(12週):寛解率20%(AT-未経験:30%、AT-経験:10%)、有効率60%(AT-未経験:70%、AT-経験:50%)12週で有効が未達成でも治療24週まで継続すると全体の80%が有効を達成します。スキリージの血中濃度が高い方がより有効率が上昇しますが副作用は上昇しません。維持療法では寛解導入12週時点で寛解を達成しているとその後の維持治療で180mgと360mgで1年後の寛解率は同等の効果です。寛解を達成していないと時は360mgの方が効果は高いです。実際の臨床では維持治療は360mgで開始し、便中カルプロテクチン、大腸カメラなどで寛解に達したことが推定、確認できた後に180mgに減量するとよいでしょう。

潰瘍性大腸炎のadvanced therapy(AT):ステロイド抵抗例/ステロイド依存例に対する治療で重要なのは1剤目でしっかり寛解にすることです。ゼルヤンツはATで何剤にも無効な患者さんにも有効率が比較的高く 経口剤なので治療中止も可能です。実臨床においても 再燃した場合 再投与で有効率:85%です。レクタブル注腸はやはり1日2回注腸した方が1回より有効率は高いです。再燃した時に短期間だけ使用するのは避けるべきです。粘膜治癒するまでしっかり使用しないとレクタブル依存症になります。