2024/8/28  Kyorin Web forum

分子標的薬全盛期に見直す5-ASA 製剤の治療戦略

 

福岡大学 消化器内科 教授 平井 郁仁 先生がご司会をされ 北里大学北里研究所病院炎症性腸疾患先進治療センター センター長 小林 拓 先生が上記の演題で講演してくれました。

 

5-ASA製剤(ペンタサ アサコール リアルダ)が良く効くために最も大切なのはお薬をキチンと服用すること:高いアドヒアランスです。 80%以上が目標です。1日1回投与が最もアドヒアランスが高くなります。患者さんには「朝忘れたら昼 昼忘れたら夜 飲みなさい」と指導します。副作用を心配して自分でお薬の服用を減らす患者さんもいらっしゃいます。そのような患者さんには「副作用はお薬が合っているか合っていないかで お薬をへらしても副作用は減りません」と説明します。ペンタサ顆粒は「粉ではなくてとっても小さい錠剤」と説明します。

イムラン ロイケリンはステロイド減量中に何mgの時に再燃したかを意識して投与開始時期をステロイド開始から逆算して決定します。

イムラン ロイケリンは効果がでるのに一般に2、3ヶ月かかるので間に合わないときはステロイドの減量スピードを少しゆっくりにします。NUDT15でArg/Argの患者さんは100mg/日から150mg/日投与可能です。Arg/Cysの患者さんはその半量ぐらいです。

5-ASA製剤(ペンタサ アサコール リアルダ)とイムランを併用しているとき イムランの働きが最もよくなり副作用が減るのはペンタサです。

5-ASAはTPMP活性を阻害して6-MMP(肝障害の原因)を減らし、6-TGN(イムランの有効性)を増加させます。5-ASAはできるだけ血液中に吸収されないように工夫して作られていますが ペンタサはリアルダ、アサコールより血中に吸収される割合が多いので6-MMP をより減らし6-TGNを上昇させるので肝機能障害がよくなり再燃予防効果が向上します。

5-ASA 製剤は腸の塗り薬です。腸の粘膜は見えないお肌です。毎日のメインテナンスが大切です。しっかり通院し、飲み薬 おしりからの治療も日課にしましょう。