2025/10/31 JDDW2025サテライトシンポジウム
腸内細菌―腸―脳軸の新展開
京都府立医科大学大学院医学研究科 生体免疫栄養学講座 教授 内藤 裕二先生 講演
認知症の患者さんは日本には2019年に412万人いますが2050年には1000万人になると推計されます。日本ではすでにアルツハイマー病を含めた認知症が死亡原因の1位です。
脂肪肝 便秘 飲酒 潰瘍性大腸炎 クローン病 うつ病などは認知症のリスクです 将来認知症が爆発的に増加するとそれに関わる医療 介護の負担も莫大になります。症状はないけどLDLが高い方にスタチンを投与しておくのは将来のことを考えると必須のことかもしれません。便秘や潰瘍性大腸炎の方は認知症になるリスクが2倍です アルツハイマー病は6倍です。認知症のリスクに最も関与しているのは当然ながら年齢です。またしゃべらないこと認知症のリスクとして挙げられています。一人住まいもそのリスクです。高齢で一人住まいのしゃべらない男性が認知症になる典型例です。一緒にお酒を飲まずに食事をしておしゃべりすることが認知症予防になります。しかし一人がお好きな方 何らかの事情で一人暮らしにならざるを得ない方もいらっしゃいます。そのような方々には ペットなら猫より犬が認知症予防になります。犬の方がお世話しなければならないからです。また最近 ルームメイトになるAIアシスタントロボット:ElliQもあります。
最近ビフィズス菌の減少が認知症発症にかかわっていることが報告されました。日本人の一部の方は遺伝的に乳糖を分解できないタイプです。この方たちは牛乳 ヨーグルト(乳糖を含んでいる)を食すると下痢しますが乳糖はビフィズス菌のえさになります。認知症は加齢、環境変化によるdysbiosisが慢性炎症を介して海馬の構造的 機能的変化をもたらすことによって発症します。最近腸内細菌の代謝産物の研究が進んできました。トリプトファンの代謝産物であるインドール‐3-乳酸はうつ病を緩和することが報告されていますがヒト常在ビフィズス菌がインドール‐3-乳酸の産生を助けます。
インターネットを利用した健康な方を対象にした研究では、仕事をしている方の40%に何らかの消化器症状があります。消化器症状があるとQOLの低下 労働生産性の低下など多くの弊害がでてきます。日頃の生活習慣が消化器症状の改善のカギになります。