2025/2/5 ゼポジアWEBセミナー
新規潰瘍性大腸炎治療薬としてのS1P調節薬の展望
関西医科大学 内科学第三講座 教授 長沼 誠 先生が上記の演題で講演してくれました
スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)スフィンゴ脂質の1種で S1P1-S1P5の5種類の受容体を介し他シグナルによって細胞増殖 アポトーシス 細胞運動 神経 免疫など幅広い領域の生理活性を有します オザニモド:ゼポジア®は経口のS1P受容体調節剤であり、S1P受容体1および5に高親和性で結合して効果を発揮する 潰瘍性大腸炎の新しい治療薬です。1日1回の服用でよくアドヒアランスの高い薬剤と思われます。
ゼポジアはリンパ球をリンパ節内に閉じ込めて炎症に参加させないようにするお薬です。サイトカインをターゲットにした治療はこれまで抗TNFα抗体以外は上手くいっていません。クローン病において抗IFNγ抗体、抗IL-17受容体抗体は治験で効果がありませんでした。潰瘍性大腸炎でも抗IL-13抗体も治験で効果がありませんでした。T細胞分化経路を標的とした治療薬:JAK阻害薬(ゼルヤンツ、ジセレカ、リンヴォック)、抗IL12/23抗体(ステラーラ)、抗IL23抗体(スキリージ、オンボー)は成功しています。
ゼポジアは全世界の大規模治験では短期(10週)の寛解率:20% 改善率:50% 長期(52週)の寛解率:40%、改善率:60%でした。内視鏡所見が重症(MES:3)の患者さんには有効性が低下します。日本人の治験は全世界の治験を比較すると患者さんの重症度が少し軽め(pMS; 8.4 vs 9.0)ですが12週の改善率:60%でした。副作用は リンパ球減少、肝機能障害、めまい、頭痛、高血圧などです。
急にたくさん服用すると徐脈になる可能性があるので投与前に心電図で検査することが必要です。感染症は増加しません。現在考えられるゼポジアの使い方ですが 他のadvanced therapyと同列で 他の薬剤と同様ですが1剤目で使用するのが最も効果が高いようです。ステロイド難治例で中等症以上の患者さんがよい適応です。