2025/3/18 UC Advanced Seminar
“基礎と臨床から診る”潰瘍性大腸炎治療
「潰瘍性大腸炎の病態・基礎・臨床を深く理解する」
福岡大学 消化器内科 教授 平井 郁仁 先生がご司会をされ 札幌医科大学 消化器内科 教授 仲瀬 裕志 先生が 上記の演題でご講演されました。
潰瘍性大腸炎の病態は マクロファージ B細胞 T細胞などの炎症細胞が中心となる免疫反応であるとともに上皮細胞の障害も重要です。上皮はそのバリア機能が大切で腸内細菌などの侵入を防ぎ体内を守っています。腸管上皮をしっかり治すことが長期寛解に寄与します。
自然免疫はマクロファージと樹状細胞が中心ですが 無差別に反応し 反応時間は数時間と短く 特定の微生物を記憶しません。マクロファージは貪食が主で 樹状細胞はT細胞活性化が主たる働きです。
獲得免疫はT細胞が中心ですが 集中的に反応し 反応時間は数日間と長く 特定の微生物を記憶します。naive細胞は骨髄で生まれます B細胞の分化する細胞はそのまま骨髄で成熟していきます。T細胞に分化する細胞は胸腺で成熟され 次はその両者とも2次リンパ組織である脾臓 所属リンパ節で成熟していきます。
Th1細胞はIFNγとIL2を放出します Th2細胞はIL4とIL5を放出します。サイトカインを放出しつづけるとT細胞は死滅するので 寛解期には effector memory T cellは腸管 central memory T cellは2次リンパ組織に潜んでいます。
Th17細胞は元来炎症がおこるとIL10を放出して抗炎症作用を発揮しますが IL23とIL1βが同時にあると炎症をおこすTh17細胞に変化します。潰瘍性大腸炎の病態は発症から慢性期になると変化していき関与する細胞が変わっていきますがTh17細胞とTNFαは初期からずっと炎症の課程に関与しています。
B細胞は通常IgAを分泌しますが炎症をおこすとIgGを放出します。B細胞から放出される自己抗体:抗インテグリンαvβ6抗体は 上皮と間質の間のRGDにくっついて上皮と間質の結合をゆるゆるにしてしまいleaky gutの原因になるようです。この抗体価は潰瘍性大腸炎の活動性と相関します。
IL22はTh17細胞より放出されますがこれが多すぎると好中球が組織に過剰に動員され治療抵抗性となります。特にステラーラ使用時に重要です。
IFNγは上皮の再生に重要ですがいつもこの刺激が持続すると逆に上皮の再生障害がおこります。この課程には細胞内伝達としてSTAT3が関与しています。これを断ち切るのがJAK阻害薬です。
慢性に炎症が経過するとTh2細胞が増加してくるのでこれを抑えるのにはIL23制御が重要です。
シンポニーの効果は比較的緩徐でゆっくり病態が改善してきますが安定すると再燃しにくいのが良い点です。