2025/3/28ジセレカ錠UC Internet Live Seminar

ジセレカの潰瘍性大腸炎の適正使用について再考する  -適応追加3年を迎えて-

 

札幌厚生病院 副院長 本谷 聡 先生が司会をされ、東京慈恵会医科大学 消化器・肝臓内科 主任教授 猿田 雅之 先生が講演されました

 

潰瘍性大腸炎の治療目標は 内視鏡でMayo:0 発がんリスクの低減 腸管外合併症のコントロール これらをすべて抑制することが大切です。

ステロイドは潰瘍性大腸炎の治療において中心となるお薬ですが使用するたびごとに有効性が低下します。日本のレセプトデータではステロイド依存症の患者さんに対しイムランの使用率は30% 分子標的薬の使用率は30%です。これらの数字は実臨床において薬剤が適切に使用されていないことを示しています。

潰瘍性大腸炎の重症例にはレミケードが適していますがアルブミン値が低いと便中にレミケードが漏れて効果が減弱します。また海外では重症には初回10㎎/㎏投与し1週後に5㎎/㎏投与します。

抗TNF-α抗体の1次無効率はレミケードで30% ヒュミラ シンポニーで50%です。

JAK阻害薬は3種類:ジセレカ ゼルヤンツ リンヴォックがあります。ジセレカはJAK1を主として抑えますが ゼルヤンツ リンヴォックはJAKを広く抑えます。治験の成績ではバイオ製剤の有無と問わず4,5日で血便がなくなり2週間で排便回数が減りました。CRPが高値で多剤無効例には有効率が低いですが バイオ未使用の患者さんでは重症例でも有効です。日本人の実臨床のデータでは軽症よりの中等症(PMS:5) に多く投与され 短期の有効率80% 寛解率60%で 42週と80週の継続率はそれぞれ82%、56%でした イギリス人でのデータでは1年の継続率60%でした。副作用は少なく帯状疱疹1%でした。

長期の安全性ではジセレカは悪性腫瘍 血栓 心血管イベントを増加させません。ジセレカはゼルヤンツ リンヴォックと違いイムランを併用できますが併用しても副作用は増加しません。ただしイムランを併用しても相乗効果はないようで継続率も上昇しません。ジセレカを中止すると平均15週で再燃しますが再投与で80%有効 60%寛解になります。このことから休薬できる可能性があります。ジセレカで効果が今一歩の時はゼルヤンツ リンヴォックに変更すると有効の時があります。バイオ製剤の2次無効にジセレカを投与する場合はバイオ製剤の効果が切れる前、早めに導入するとよいでしょう。