2025/4/26 第9回 Biologics Workshop on IBD
バイオ製剤全盛時代の潰瘍性大腸炎治療を考える
抗TNFα抗体は潰瘍性大腸炎では3種類:レミケード ヒュミラ シンポニーを使用できます。レミケードは潰瘍性大腸炎の2/3, クローン病の3/4に有効ですが、2次無効が潰瘍性大腸炎では1/3, クローン病では1/4に起こってきます。
海外の実臨床のデータでは 長期の抗TNFα抗体の継続率は40%程度です。エンタイビオ ステラーラの継続率は60%程度です。ステラーラは長期維持率が高いのが特徴です。
外来中等症の日本人潰瘍性大腸炎患者さんにおける実臨床をまとめたデータでは継続率:ステラーラ レミケード エンタイビオは同率でした。前向きの試験では短期(12週)の有効率はステラーラとレミケードとエンタイビオは同等でしたが長期維持率はステラーラが高かったです。抗TNFα抗体は週単位で症状が改善します。ステラーラ エンタイビオ オンボー スキリージは月単位で症状が改善します。
JAK阻害薬は便回数 血便の程度などの症状が日単位で改善します(リンヴォック:1日、ゼルヤンツ:3日、ジセレカ:7日)。JAK阻害薬は抗TNFα抗体の2次無効後でも1剤目に投与した時と同等の効果を示します。
リンパ球遊走阻害薬(ゼポジア)は抗TNFα抗体の2次無効後に投与すると効果が落ちます。安全面ではステラーラ エンタイビオが高く、レミケードとイムランを併用した場合は感染症に留意することが必要です。JAK阻害薬(ゼルヤンツ リンヴォック)は効果発現が早いですが副作用が多いので、高齢者 喫煙者には可能ならば投与を避けたほうがよいでしょう。