2025/4/9 Skyrizi UC Internet Live Seminar
分子標的治療薬全盛時代における潰瘍性大腸炎の治療戦略
~IL23p19阻害薬スキリージをどう使うか、どう活かすか?~
大堀IBDクリニック 院長 吉村 直樹 先生が上記の演題で講演してくれました
最近の疫学調査では潰瘍性大腸炎は日本で約30万人いると言われています。潰瘍性大腸炎の治療では 効果発揮の早さ 有効性の%の高さ 安全性 効果の継続が大切です。潰瘍性大腸炎治療の目標は 粘膜治癒を達成して大腸癌の発生 大腸切除を避けることです。
ステロイドは潰瘍大腸炎治療において重要なお薬ですが 副作用も多く 長期の経過は良くないので安易なステロイドの全身投与は避け、ステロイド投与の効果の見極めを早くすることが必要です。
抗原提示細胞より炎症の情報がnaïve T細胞に伝達され IL12の刺激でTh1細胞、IL23の刺激でTh17細胞、IL4の刺激でTh2細胞にそれぞれ分化していきます。IL12は潰瘍性大腸炎の病態の中で再燃と関連しています。
スキリージはステラーラより効率的にIL23を抑制します。実臨床のデータではスキリージを投与すると4週ぐらいで血便がなくなります。分子標的治療薬をまだ投与していない中等症患者さんに良く効きます。多剤難治例でも有効ですが使用した薬剤が少ない方がより有効です。ステラーラやオンボ-が無効の患者さんにも有効です。投与開始後12週までに寛解になった患者さんは180mgで維持します。効果はあるがまだ症状が残っている患者さんは360mgで維持します。1次無効の患者さんはスキリージを他剤に変更します。スキリージ投与中に効果減弱した場合は1200mg静注で再導入の治療をします。
リンヴォックは経口薬なので使い勝手がよいので 重症度が高く、即日治療強化が必要な若い男性の患者さんがよい適応です。
各薬剤の特徴と副作用を理解し 患者さんとよく相談して 患者さんの病態の最も適した薬剤を選択し安全に使うことが患者さんのQOL向上に寄与します。