2025/7/10 大分 潰瘍性大腸炎 WEB講演会
潰瘍性大腸炎におけるステロイド治療を見直す
大分赤十字病院 消化器内科 副部長 高橋 晴彦 先生
病態メカニズムから考えた潰瘍性大腸炎治療選択
~ステロイド依存をどう乗り越えるべきか~
浜松医科大学 内科学第一講座 教授 杉本 健 先生
日本における最近の疫学調査では潰瘍性大腸炎31万人 クローン病9万人で合わせて40万人と報告されています。根本治療がなく一生付き合う病気で働き盛りの間も病気と一緒にすごさなければなりませんが 一部の重症患者さん 発癌した患者さん以外は 一般には亡くなる病気ではありません。
特に潰瘍性大腸炎は全体の90%以上は軽症 中等症であるので基本治療(5-ASA 製剤、ステロイド)が重要です。
5-ASA 製剤(ペンタサ アサコール リアルダ)の作用機序は抗炎症作用が主体で免疫抑制作用はありません。調子がよいとついついお薬を飲み忘れてしまい再燃してしまいます。
ステロイドは今でも潰瘍性大腸炎の治療の中心となるお薬ですが ≧40mg/日の使用で術後合併症が増加し ステロイド総投与量が≧7000mgになると不可逆な副作用(成長障害、骨粗鬆症による骨折 緑内障 白内障など)が増加します。十分量を投与し3ヶ月以内に終了することが大切です。
エンタイビオは導入時にステロイドを併用すると エンタイビオ単独の治療より寛解導入などの治療成績が向上します。エンタイビオは活性化白血球が腸管炎症局所に浸潤することを防ぐのがその作用機序ですが in vitroの成績で エンタイビオの治療濃度では炎症を抑える働きを有する調節性T細胞の浸潤は抑制しません。