2020/10/28 ステラーラUC適応拡大記念Web Seminar

潰瘍性大腸炎治療最前線 -新規治療薬ステラーラへの期待-

東邦大学医療センター佐倉病院IBDセンター センター長/特任教授 鈴木 康夫先生講演

 

厚生省の難病の班研究の前リーダーである鈴木先生が潰瘍性大腸炎治療におけるステラーラと治療の考え方を解説してくれました。潰瘍性大腸炎は平成の間に患者さんの数が約10倍になり全国で20万人を超えました。治療の中心はペンタサ アサコール リアルダなどの5-ASA製剤とステロイドですが ステロイドが効果ない(ステロイド抵抗例) ステロイドは効くけど減量できない(ステロイド依存例)患者さん(合わせてステロイド難治例)にはステラーラを代表とする生物学的製剤が投与されます。ステロイドは初めて潰瘍性大腸炎になった時に投与すると非常によく効きますが2年後には半数以上の患者さんがステロイド治療に行き詰まり他のお薬が必要となります。潰瘍性大腸炎は再燃と寛解を繰り返す病気です。経過によっては内科治療が効果なく手術で大腸を全部切除して治す場合や癌が発生して大腸を手術する場合があります。再燃による入院と手術を防ぐことが治療目標です。現在ステロイド難治例には生物学的製剤が5種類 経口剤が2種類 さらに白血球除去療法が使用可能です。これらのうちどれを選択するかですが まず病気の状態を評価します。腸のどこまでに潰瘍があるか(病型) 粘膜の炎症の程度、採血データ(重症度) 症状が悪くなってきているか またそのスピード(病勢) 病型 重症度 病勢をまとめて①病態として評価します。②患者さんの背景;若年、高齢、妊娠希望、癌、心疾患 代謝疾患などの合併症 性格 職業 社会的立場を考慮します。さらに③これまでの治療経過、 ①②③を考え併せてうえでお薬それぞれの特徴を考慮して患者さんに最も適した薬剤を選択します。ステラーラはTNF-αでは抑えられない病態をおさえることができるのが利点であり 効果が比較的早く他の生物学的製剤で効果減弱例にもよく効き 一度効果がでるとその効果が長持ちする そして副作用が少ないのが良い点です。